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地方〔文化〕創生―九州エキスパートミーティング2016秋

アートや文化により地方を元気にする方法とは?――11月8日から12日にかけて、「オランダ&九州」主催の二つ目のスタディーツアーが福岡と大分で開催されました。この九州スタディーツアーは、同じ課題に取り組む日蘭の専門家や組織に出会いの場を提供すると同時に、さらなる協力のためのベースづくりに貢献しました。

この視察旅行には地域活性化に関わるオランダの文化機関が参加し、期間中に行ったエキスパートミーティングではおよそ30名の日本の参加者たちとのディスカッションを通して知識交換を行い、アートや文化による地方創生のためのアイディアを分かち合いました。参加者のルド・ディルス氏(IBAパークスタット)はこの来日を次のように振り返ります。「それは旅というよりも体験、いや、発見と呼ぶべきでしょう。あんなに離れた異国の地で居心地よく感じたのは恐らく初めてだったと思います。リンブルフ州のパークスタットという街で行っている私の仕事にも通じるテーマが多くありました。とても貴重な経験であり、私に多くを気付かせてくれました。」

オランダと日本のまちの縮退
他の先進国同様、オランダと日本では若者の減少、空き地の増加、畑の荒地化、子どもの減少による廃校、取り残された商業施設や工場の増加など、地方の衰退が問題視されています。オランダの地方の人口縮小は、80~90年代の都市問題を解決するための当時の都市再生プロジェクトの開始後、国土の端側、特にリンブルフ、フローニンゲン、ゼーラントなどの州を中心にはじまりました。一方、日本の地方の人口縮小は戦後の経済成長による人材、経済、施設などの都市部への移動が主な原因とされています。日本では、オランダに先駆けてもう何年も地方創生が国の重要課題とされ、中央政府も対策を行っているものの、根本的な解決の糸口は未だ見つかっていません。

よそ者・若者・ばか者
日本には地方創生に必要な人材を表す「よそ者・若者・ばか者」という表現がありますが、変革や改善の可能性を見出すためには外からの中立的な視線が必要であり、また伝統や周囲の人々の考えにとらわれ過ぎることなくアイディアを実行し、それを継続する人々が必要です。「よそ者」の力を利用した良い例として、このスタディーツアーの強力なパートナーでありエキスパートミーティングの開催地となった福岡県うきは市の事業が挙げられます。うきは市はモンドリアン基金やオランダ人アーティストグループ(Ukiha & Holland Jazz Night)など、オランダの文化組織とのコラボレーションを精力的に行いながら地元の魅力を国内外に発信しています。

「束ねる」ことの重要性
視察団が特に感銘を受けたのは、日本人の手仕事の質の高さとすみずみまで行き届いた思いやりの心です。「シンプルな美と人々がもつ細部へのこだわりが日本の力だと思います。食材の調理から作品の制作・展示にいたるまで、細心の注意を払って行われるすべてのことに感動しました」と語るのはシュールド・ワーヘナー氏(ピアグループ)。
ウッズ・ウェスターホフ氏(レーワルデン欧州文化都市2018)もそれに同調します。「印象的だったのは、日本には工芸のための広範にわたるインフラが存在しているということです。特別な補助金や税制度も存在していると理解しています。そのため日本にはしっかりとしたベースや、伝統に基づいた質に対する思いやりが残っているようです。この伝統というのは同時に、未来のためのインスピレーションになり得ます。一方で、ブランディング会社の代表者でありプロデューサーである江副直樹氏によると、オランダのカルチャーセクターが行っているように、異なるネットワークが協力するためのプロフェッショナルのインフラが必要であると言います。

この訪問の具体的な結果はというと、参加者がさらなるディスカッションやコラボレーションのために自ら次のスピンオフ企画を発案したことです。2017年には日蘭の間で少なくとも二つの訪問が計画されています。

オランダの視察団メンバー
ウッズ・ウェスターホフ(欧州文化首都レーワルデン2018 ネットワーク&イノベーションディレクター)
シュールド・ワーヘナー(ピアグループアーティスティックディレクター)
ルド・ディルス(IBAパークスタット戦略&コミュニケーション、文化プロジェクト責任者)

共催
うきは市

協力
江副直樹(ブンボ株式会社
西田稔彦(竹田アートカルチャー
原茂樹(日田シネマテーク・リベルテ
森一峻(Sorriso riso