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OTANI NIEUWENHUIZE

二人の写真家によるフォト・コラボレーションプロジェクト

日本人写真家大谷臣史とオランダ人写真家ヨハン・ニューウェンハウゼは、互いのしごとにおける共通点や違いに強い結びつきを感じています。街の中を歩き、本能的に、続けざまに撮影をするスタイル、および自らのアーカイブを使用し、様々な街や時間の写真を組み合わせるという取り組み方が共通している一方、二人は異なる概念や興味を持ち、大谷は記録という観点から撮影し、ニューウェンハウゼは対照を抽象的に表現する、という特徴の違いがあります。

両者は写真を言語として捉えます。彼らが興味をもっているのは真実を明かすことや一面的な話を伝えることよりも、毎回異なる解釈ができるようなストーリーを伝える方法です。ある人は作品の中にユーモアや美を見出し、またある人は馬鹿馬鹿しさを見出す。それを意識的に感じ取る人もいれば、無意識に感じ取る人もいるでしょう。OTANI NIEUWENHUIZEは二人のアーティストの間に生まれた言語あるいは通用語と考えることができます。

哲学者アンディー・クラークとデイヴィッド・チャーマーズの交換記憶(transactive memory)理論によると、二人組みで作業をすると、個人でそれぞれ作業をした時よりも大きな集合的記憶が生まれるそうです。友達同士で旅をするかのように街を歩き回ることで、両者は物事を無意識に、断片的に記憶し、残りのことは相手が覚えているだろうという感覚を抱きます。大谷臣史とヨハン・ニューウェンハウゼは、同じ時に同じ対象物を撮影することで両者の間に生まれる集合的記憶を探るのです。

二人のアーティストはOTANI NIEUWENHUIZEプロジェクトを通し、自らが観光客に扮し、文化が「消費」される場所を撮影することで日蘭の文化や文化観光に触れます。オランダではアムステルダムにある国立美術館、南部にあるテーマパーク・エフテリング、日本では太宰府天満宮、出島、長崎の旧オランダ商館を、さらに日蘭両国の文化を象徴する長崎のハウステンボスを撮影します。

現地では二人での撮影と単独の撮影を交互に繰り返します。二人は個人の視点で空間を読み解きながら撮影を行い、各所を調査します。このようにして、その場所に対する集合的記憶が生まれるのです。そして写真を選定することで作品に新たな意味が宿り、最終的なフォルムが完成します。さらに両者の写真を組み合わせることで、見る者が解釈し、独自のストーリーを生むための新たな文脈やスペースが作品に与えられるのです。

出版物は5冊のマガジンから成り、そこでは二人による写真の編集が重要な役割を持っています。オランダの撮影箇所はニューウェンハウゼが、日本の撮影箇所 は大谷が、そしてハウステンボスに関しては両者が共に監修を行います。

大谷とニューウェンハウゼの目標は、このプロジェクトを通してアーティストとしての視野を広げることです。他者からの意見やアイディアに耳を傾けることで、自らの仕事やその方法について自問します。

このプロジェクトは、彼らにとって一種の「遊び」でもあります。一方の写真家が写真を見せ、もう一方が連想するイメージを頼りに答えます。カードゲームでは最高の手札をすぐに見せないのと同じで、彼らの「遊び」の結末、つまり二人が共有する視覚的記憶も時間をかけて徐々に構築されていきます。そこには力強い作品と、両者のイメージの間に生まれた対話の記録、および解釈のための新たなスペースが生まれます。

WEBSITE: OTANI NIEUWENHUIZE